作品タイトル
OSITE!「押して」
作者
カリン様
作品本文
押して~、あいよ~、ガチャンガチャン、ガチャンガチャン
押してや~押してや~、ガチャンガチャン
その掛け声に励まされ押す手に力が入る
”ジャッキ一日一万本、京都刑務所七工場”
なんや”ギョウザの王将”のCMみたいやな
せやけど今日もやっぱり一日一万本
押してや~、あいよ~、ガチャンガチャン
ペーパー?ウッド?No No、アイアン!鉄!
アイアンやっぱり重い、しんどい、手首痛い
それでも今日もやっぱり一日一万本
押してや~、俺は毎日その君の掛け声に心押されてる
俺の押してよ~も君の背中を少しでも押せたらいいな
俺、そんなこと想いながら、押してや~、あいよ~って言ってるねんで
今日も変わらず”ジャッキ一日一万本 京都刑務所7工場”
いつか出所へと押し出されるその日まで押して押して押しまくる
俺はカンガルー 前にしか跳ばれへん だから押すしかない!
その日常を通して己と向き合うんやで
しんどいけどやるしかない それが俺らに与えられた仕事やから
その仕事があることに感謝して 今日も俺は
押して~、あいよ~と叫ぶんや! あいよ~!
朗読音声
朗読:児嶋文憲(鎌倉)
作品ジャンル
詩
展示年
2024
応募部門
課題作品部門
作品説明
私は今、京都刑務所の工場で車のジャッキを1日1万本作っています。レーンの流れ作業台で仕事する風景を切り取りました。鉄は重いので体力的には本当にしんどい。しかし、「押して~」という元気な掛け声に勇気づけられて、なんとか毎日を一生懸命仕事できている。そんな想いを詩にしてみたのと、コロナで車の減産と共にジャッキの生産数も減って仕事がない時がありました。だから忙しくても仕事があることに感謝しているのです。