未来の生命に捧げる詩 – のほほん氏

作品タイトル

未来の生命に捧げる詩

作者

のほほん氏

作品本文

その時 父というものは
未知の不安に怯える心と
幸福の期待に昂ぶる心とが交錯し
焦点の定まらない瞳を宙に投げ
訳のわからない言葉を呟き
魂の抜殻のような顔をして
高まる鼓動の中 一秒一刻に
命を削るように神経を遣い
その瞬間が来るのを待っているんだ

母はといえば 汗にまみれながら
躯の芯を突き刺すような
激痛の荒波の中で
失神しそうな己を叱咤し
夫の名を 祖母の名を呼び
聖母マリアに祈り
最後の力を振り絞っているんだ

 オギャー オギャー

万物の霊長の誕生だ!
生命の誕生に祝福あれ!
万歳 万歳 万歳!

多くの人に 祝福されて誕生した生命よ・・・
生まれてきた意義を知る人となれ!
生きる喜びを知る人となれ!
青空のように 広く澄んだ心を持ち
富士山のように 気高い誇りを持ち
誰からも愛される人となれ!

 生まれてくる 赤ん坊の一人に
  神の夢が 託されている・・・
 (カリル・ギブラン)

作品ジャンル

展示年

2024

応募部門

課題作品部門

作品説明

この世に期待と幸福を願って迎え入れてくれた父と母の愛を大切にして、生まれてきた意義と喜びを知り、担って行くこれからの世界に夢と希望を大きく持って生きてほしいと、多くの人に愛され、愛する人になってほしいという気持ちで書き上げた。幼いあの日に戻りたい。汚れのない子どもの頃に戻り、母の胸に飛び込みたい。けれどそれは夢・・・。こうして私の大切な時間を無にした人間にはならないでほしい新しい生命へ。

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