つながり – いがらし きり

詩が書いてある。赤色と青色を薄くした色味で表現されている。滲んだ二色が全体に広がる。所々、色が混ざって紫色である。ビー玉を覗いているよう。ボールペンだろうか、文字の上を滑るような黒い線が交差している。人のような黒い線が地図記号のようにあちこちにある。

作品タイトル

つながり

作者

いがらし きり

作品本文

鈍色の戦争は右手に
スラムに咲く花は風にゆられて微笑んで
路地をふきぬける風は新しい種をはこぶ
虹色の選択は左手に
誰が言い出したのか今となってはわからない
時がたてばバラバラになってゆく枝をのばす
抱えきれないものはすべてしまいたい
捨てきれないものなら背負ったままでいい
気がつけばいつだってひたすら何かを探している
手のひらに収まるほど小さなセカイ
だけどどこまでも拡がる大きなセカイ
よびだした地図のあちこちに
忘れられない情景をマークすること
アルバムにつらなる色あせた世界
ポケットからこぼれおちる記憶のカケラが
もちだした地図にふりつもる
画面のなかのヒーローはわたしたち
写真のなかのヒーローは父と母
それぞれがセカイを救う
たいせつな世界を守る
私たちはつながっているのかも

作品ジャンル

詩、絵画

展示年

2025

応募部門

自由作品部門

作品説明

子どもの頃から特定の夢をみます。一番多いのは客観的に自分が見えるどこまでも真っ白な世界で除々に小さくなっていき最後は点のようになり消えてしまうものですが、その次に多いのが、死ぬか殺されてしまう夢です。その中で色んなパターンがあるものの、何かを探しつづけて逃げていて、紅と青の空気感が入れかわったり、血や水、廃墟といった共通のものがいくつかあることです。けして手に入ったり、死なずにすむことがないのですが、印象にのこるシーンを詩の形にして、見える色味を汚しとしてほどこした作品になります。

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