作品タイトル
手紙
作者
音道愛斗
作品本文
届いた手紙には見慣れた文字が並び
聞こえるはずのない声が鼓膜に語りかけてくる
そこにあるのは じれったい程の感情で
ペンを持つ手と心が震え 文が進まない
自分の字で手紙を送ることが
こんなにも重く責任があるのだと気付いたのはいつだったろうか
改めて一通一通に感謝の念を込める
時代遅れだとか 手が疲れるとか 今はネットで出来るとか
確かにそうかも知れないけれど
それじゃ伝わらないこともある
綴られた一語一句の文章が何よりの気持ち
一通の手紙に 一喜一憂 または落ち込み
それでも手紙をくれたことに感謝して返事を書く
時には嬉し涙や悲し涙で
瞼を腫らし枕を濡らすこともたくさんあった
消印の日付けを確認してみたり
記念切手が貼られていると嬉しくてニヤけてみたり
さぁ返事を書いてポストに入れよう
前略 手紙ありがとう お元気ですか?
こっちは相も変わらず過ごしてます。
先日の手紙に書かれていた
あの言葉、とても感激しました。
そして改めて思いました。あなたは僕の大事な人
朗読音声
朗読:立花顕則(長崎)
作品ジャンル
詩
展示年
2024
応募部門
課題作品部門「私の大切な時間」
作品説明
刑務所の中での手紙は、本当に心の支えになります。マザーハウスのMLPの方々、事務局の方々にも大変お世話になっています。自分の想いをそのまま詩にしてみました。