裸の光 – 成程もっとも

作品タイトル

裸の光

作者

成程もっとも

作品本文

大正に生まれ
昭和 平成と時を経てきた
裸電球の時代が終わり
その姿が徐々に消えつつある——

巨塀の向こうに
六十ワットの裸電球が点っている
不思議なことに 昼間も点っている
忘れているのか 面倒くさいのか
誰も消そうとはしない

昼間の外灯は
波打ち際の流木のように見えるが
陽も落ち 夕方になると
花のように咲きはじめ
夜になると宝石のように輝く
だが その近くに水銀灯が点り
六十ワットの光を阻止する
しかし 裸電球は負けてはいない
昔とった杵柄で水銀灯に挑んでいる

私は 裸電球を眺めていると
遠い在りし日を思い出す
母の瞳のような
ふるさとの温もりを感じる
裸電球の輝きは
過去の思い出の輝きだ
人生に打ち破れた
人間を励ますような
そんな輝きに見える

時には潤み
時には哀愁を語るような
人生のプロセスを知りつくした
光りを放つ裸電球が
人間の歴史を物語るような
裸電球の光りが 私は好きなのだ

作品ジャンル

展示年

2023

応募部門

自由作品部門

作品説明

時代の流れとともに著しく変貌し進化していく世の中にありながら現代人は先へ先へ新しいものばかりを求めている。その中で新しい物の基となった裸電球の存在が忘れられていくことが淋しくなって人間の歴史を物語るような貴重な存在を忘れてはならないという気持を電球に思いを込めて書いた。

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