レポート:「いちにちだけの ちいさな 刑務所アート展」釜ヶ崎芸術大学

大阪・西成にあるゲストハウス「ココルーム」にて、1日だけの小さな刑務所アート展を開催した様子。

5月17日(日)、大阪・西成にある「釜ヶ崎芸術大学」(ココルーム)にて、「いちにちだけのちいさな刑務所アート展」を開催しました。釜ヶ崎芸術大学は、PACの理事でもある上田假奈代さんが運営されている「大学」です。「学び合いたい人が集まれば、そこは大学になる」という思いで、毎年さまざまなゲストを招いた講座を多数開催しています。

そんな釜ヶ崎芸術大学の場をお借りして、今回、小さな刑務所アート展を開催してみました。冒頭では、上田假奈代さんからこの企画の趣旨を説明していただき、そして共同代表の風間から刑務所とはどのような場所で、どのような人びとがいて、そして「刑務所アート展」をはじめた経緯や思い、これまで集まった作品にはどのような背景があるのかなど、イントロダクションとなる説明をしました。

「いちにちだけの小さな刑務所アート展」の冒頭で、参加者に向けて説明をする様子

上田假奈代さんのお話では、今回の企画は「どんなイベントなんですか?」「参加してみたいです」といった、事前のお問合せがけっこうあったということでした。刑務所の方から届く表現というのは、なかなか目にする機会がないため、関心を持ってくださる方が多かったのかもしれません。そして当日も、釜ヶ崎芸術大学のイベントに初めて参加する方が多く、予想以上に多くの方が集まってくださいました。

このイントロダクションでの説明は、いつも緊張感があり、また悩ましさがあります。「犯罪をした人がアートをするなんていいの?」と、素朴に思われる方は多く、それに対する説明として、刑務所にいる人たちは社会的に弱い立場にある人が多いということ、これは研究者たちの一定の見解として間違いではないのですが、それはまた別のラベル(≒刑務所にいる人たちはかわいそうな人たち?)をつけてしまいそうで。

「作品を見ながら、その作者一人ひとりと向き合い、その声に耳を傾け、どう受け止め応答できるか、一緒に考えたい」、このことに尽きるように思います。

次の写真は、共同代表の風間が作家名・おたふくさんの作品を手にして、説明をしている様子です。

作家名・おたふくさんの作品を手にしながら、説明している様子。

これは、応募用紙であるA4のコピー用紙の裏側に、ボールペン1本で描かれた作品です。刑務所では、ノートや便箋はてにする機会は多くても白紙の紙はめずらしく、そして誰でも使用できるペンが、黒・青・赤の3色のボールペンです。クラブ活動に参加していたり、許可が降りれば絵の具なども使えますが、多くの人は許可がもらえず使えるものには限りがあります。それでも、絵を描きたいというエネルギーが伝わってくる作品です。

テーブルには、絵画や書などの作品を並べ、手にとって見ていただきました。その他にも、詩やエッセイといった便箋に書かれたテキスト作品もお持ちして、手にとってじっくりご覧いただきました。

テーブルのうえに置かれた作品と、それを手にとって参加者が見る様子。

そこに、「つい最近、刑務所から出てきたんだ」という方が途中参加されてきました。事前にこのイベントのことは知っていたようでしたが、様子を見るように会場内にいらっしゃったところを、上田假奈代さんが企画の説明をしてみたら、「聞きたいことがあったら、聞いてくれ」と、みなさんの質問に答えてくださる場ができました。

刑務所アート展、過去にも何度もこうした場面に出会ってきました。当たり前のことですが、すでにこの同じ社会に、刑務所にいた経験を持つ人が一緒に生きています。そして普段であれば、なかなか人に話せないことも、刑務所アート展の場では「自分にこそ話せることがある」と主役になってくださり、私たちもその声に耳を傾けられる場が立ち上がります。

釜ヶ崎芸術大学の場の力を感じる瞬間でした。

作品を見たあとは、便箋を1枚ずつ配り、作者に向けてコメントを書く時間をつくりました。みなさん熱心に、ていねいに言葉を綴ってくださる様子がありました。このコメントは、作者の方に送り届けます。

1日だけでも、「刑務所アート展」はひらけるという発見のある企画でした。

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