作品タイトル
秋愛る
作者
日々是頓
作品本文
日が暮れる 秋の黄昏 いと侘し
残り蝉 季節迷いて 何処へ行く
雲流る 秋空恋し 鳥一羽
朝もやに 目を凝らして見る 秋茜
木もれ日に ふと目覚しが 秋の陽か
肌寒(はださむ)の 喜寿の身にしむ 初冬かな
茜見る 秋の夕陽は 漫(そぞ)ろかな
出汁(だしじる)に 大根きざみ 鍋の季節
彼岸花 芒達とも リンと立つ
日溜りの 落葉一葉(いちょう) 朔月か
朝焼けに 初冬身振い 誓いしが
コスモスの 色めき揺れる 空(うつ)ろいぞ
初冬にて 朝の目覚めに 窓の霜
転(うた)た寝の つい誘われし 秋の日射しか
武(もののふ)の 虫集(すだ)くなり 関ケ原
小春にて 冷気朝焼け 眩(まぶ)しすぎ
ゆずり葉の 繁る小径を 亡き妻と
微睡(まどろ)みの 夢現かな 秋の夜明け
寝易(ねやす)さに 初冬の趣(おもむ)き 又床へ
苔生(コケム)した 奥の中庭 秋の声
晦日餅(みそかもち) 朝の並びに 深気かな〔伊勢の赤福〕
涼風に 想い巡らす 老いの愚痴
長い陽(ひ)に 足元の蟻(あり) 動く様(さま)
秋めくと 曼殊沙華見ゆ 河の土手
秋の虫 集(すだ)く獄庭 音楽堂
蒸し暑い 驟雨(しゅうう)来たあと 秋の宵
作品ジャンル
俳句
展示年
2024
応募部門
自由作品部門
作品説明
今年は酷暑⇒厳寒と一気に季節が移ろい、秋が見当たりません。よって秋を懐かしみ想いを巡らしたものです。