作品タイトル
あなたへ
作者
老桜の虚
作品本文
大切なあなたは今から12年前亡くなってしまった。
ながい闘病生活の上私はあなたが亡くなった事を所内にて知りました。平成19年より刑に服し17年目の服役生活となる2024年。
人の生命を奪い大罪を犯した私の心はあなたを失なった事により虚無の穴が心にぽっかりと開き一生閉じる事はないでしょう。
あなたが亡くなった時に初めて私は生命の大切さと重さを知りました。
そしてその時に初めて己の犯した大罪の重さ、責任を感じ後悔しました。あなたの死に目に会えなかった事が私にとって紅蓮の苦しみであり神があたえた私への罰の1つでもあるのだと思います。
出来る事ならもう一度あなたに逢いたい。
罪深き大罪人の私の生命を対価して、もう一度あなたに逢えるのならば喜んでこの生命を悪魔にでも何にでも差し出したい。
私の被害者も生きたかったはずです。
遺族の方々も私のこの苦しみ以上に苦しみ被害者に逢いたい はずです。
残刑期6年。社会へ戻る日も近くなって来ました。
実家に行き身内に頭を下げてあなたのお墓参りする事を
あなたは許してくれますか。
ただただあなたに逢いたい。
あなたの笑顔や温もりが恋しいです。
あなたの写真はみつめる内に手垢で、いつしか黄ばみ、角がボロボロになっています。
たまに夢にあなたが違いに来てくれて、涙を流し目を醒ます事があります。
あなたの死に目を見取りたかった。
逢った。
ただあなたに逢いたい。
これが私のただ1つだけの切なる願い。
作品ジャンル
手紙
展示年
2025
応募部門
テーマ部門①「あなたへ」
作品説明
私の大切な祖父を所内生活中に病魔で亡くし、ただもう一度逢いたいと願う心の叫びです。
事件の被害者や遺族の方々の気持ちが理解できた時でもあります。