あなたへ – エンポリオ・イワンコフ

作品タイトル

あなたへ

作者

エンポリオ・イワンコフ

作品本文

あなたへ

俺は体と心が一致しない性同一性障害で、あなたに打ちあけるまで女の子を演じてた。
小さい時「〇〇は女の子だよね。俺って言うのは男の子だから言わないの」と言われた時、俺は人と違うんだと思った。
好きな子が出来ても気持ち悪がられると思って心の中にとどめているだけで、辛い毎日だった。
五体満足で健康な体で産んでくれたあなたに対して「俺は男なんだ」と打ちあけた時凄く勇気がいった。
縁を切られるんじゃないか、気持ち悪がられるんじゃないか、一杯不安な気持ちが出てきて怖かった。
でも打ちあけた時あなたから「〇〇は〇〇のままだから」と言われて、初めてありのままの自分で生きていっていいんだと思って涙が出た。
好きな人と映画をみたり、デートをしたり、人として当たり前の日常を手に入れられることが出来て嬉しかった。

あなたは俺の1番の理解者で、1番支えてくれる人。
俺が刑務所に入って、生理がきて、死にたいと思って自殺しようとした時手紙をくれたよね。
”〇〇は我が家の次女としてこの世に生まれてきました。
天真爛漫で健康で、育てやすい元気はつらつな子でした。元気すぎて他所様にご迷惑をおかけすることも沢山ありましたが、友達にも恵まれスクスクと成長してくれました。
だけど天真爛漫な笑顔の裏で、生きにくさを感じている事に気付いてあげられなかった。きっと度々SOSを発信していたのだろうけどキャッチしてあげられなかった。
身体と心、一致するように生んであげられなかった。
たくさん悩んだのだろう。 たくさん苦しんだのだろう。
気持ちを打ち明けるまでにどれだけの葛藤があったのが…
もう悩まなくていい。〇〇が男だろうと、女だろうと私が生んだ子だから。私の子だから。
幸せになりなさい。他所様のものさしじゃなく、〇〇のものさしで幸せになりなさい。
「親より先に死ぬな」これさえ守ればそれで良し。”
初めてあなたの心の中を知って涙が止まらなかった。
俺のことを気持ち悪いと思う人はいると思う。でも1番身近なあなたが味方でいてくれるのなら心強いと思った。
あなたには感謝しかありません。
いつもは照れくさくてなかなか言えないから、この場をかりて言います。
俺の1番の味方でいてくれてありがとう。
生んでくれてありがとう。

エンポリオ・イワンコフより

作品ジャンル

手紙

展示年

2025

応募部門

テーマ部門①「あなたへ」

作品説明

自分の気持ちを伝えたくて書きました。
十人十色という言葉があるように、一人一人違ってもいいんだと思って下さる人が一人でも増えるよう願って書きました。

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