今生竹取図 – HiRO

鉛筆の濃淡だけで描かれた風景画。画面の右半分を太い竹が数本、斜めに横切る。左奥には山並みと水辺が霞んで広がり、中央やや上には小舟のような影が浮かぶ。左上には大きな月がかかり、その手前に光をまとった小さな人影が宙に立つ。右下では烏帽子をかぶり狩衣をまとった人物が地面に坐している。画面の四辺は渦巻き文様の縁取りで囲まれている。

作品タイトル

今生竹取図

作者

HiRO

作品ジャンル

絵画

展示年

2026

応募部門

府中刑務所アート展2026

作品説明

施設でお世話になり約一年が過ぎようとしている現在、府中刑務所アート展2026への募集があり、同囚からの勧めで応募させていただきました。締め切り申し込みの関係で使用できる画材が、シャープペンシル・ボールペン・定規・消しゴムのみという物しかなく、応募するか迷いましたが、折角初めての挑戦として、限られた環境の中で今を精一杯表現できるよう心を込めて制作いたしました。
平安時代前期(905年)、日本最古の物語である竹取物語の場面を題材にしました。宿命を避けられない、かぐや姫へ向けられる竹取の翁と妻の無限の慈愛を松林から望むという構図です。光と陰・自然・宇宙・信仰。生まれ出る者はいずれ死んでゆくという普遍的道理。姫は月に帰る時、全ての記憶を忘れて行ったとされています。しかし家族と過ごした日々はかけがえのないものだったに違いありません。来たるべき最期の時、逝く者・遺される者、それぞれが”今をどう生きるか”という私にとって大切な軸を作品へ込めております。古典文学と、私の描いたこの作品から少しでも、御覧になられた方々の心に届く事が出来ましたら幸いです。

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