作品タイトル
私の大切な時間
作者
ジャック・クリスピン
作品本文
この秋で2年という月日を刑務所にて迎えることになる。いつの間にかそんなに日が経ったのかと思うより先に、過ぎて行った時の速さにゾッとするような怖さを覚える。果して何か一つでも自身のためになるような出来事は、自信を持って語れるそんな土産話はあるのだろうか。もう少しこれが出来るようになった！とか、成長したなと思える実感も・・・。
社会にいた頃はもっと出来る、伸びしろはまだまだと言っていたのに、いつの間にか・・・。なんだろ？自分の天井の近くさが見えたような感覚になる。前に進んでいると感じていたあの頃とは違い、一歩進んでは、又戻り、ずっと同じ所を行ったり来たりしているような、そんな気が ・・・
凹んでしまいそう（笑）。こんなモヤモヤした感じ、わかる人も沢山いると？思うけどね。自分だけと思い込みすぎないように心がけて、落ち込まないようにと言い聞かせる。ここはここ、外は外、とらわれ過ぎないように。
こっちで得られないものは、外で、違う所で補えばいいじゃないって能天気に思ったりもしたり・・・
さて今回「私の大切な時間」といった内容で書かせてもらえる機会を与えて頂き、とても感謝します。
具体的に何を、と考えていて、「大切な時間」と言えばやはり、これかな？と思い書かせて頂きます。
私はこう見えても、（見えてないけど・・・）外に居る頃は音楽活動をやっておりました（進行形です）。ホームと近隣の他府県で、年間15本程度のライブやイベントに出演するバンドです。そんなに多くはないけど、最低月一、二本のステージをこなしていました。こうやって説明すると、「なるほど、ステージに立つ事が大切な時間」ねと思われがちですが、勿論それは確かにそうなんだけど、華やかなステージに立つ事よりも、実は（多分、私だけだと、メンバーは違うと？）私はそのステージ、ライブに出るまでの準備期間、ひらたく言えばリハーサル、更に追反すると、その日の出演時間（順番）持ち時間、そう言ったものを妄想する時間、考える為の時間を大切にしています。どの曲を演るのか、間にしゃべりを入れる分数（M・C）ホームならば新曲、アンコールをどうするのか、そう言った進行上の流れを、ライブが決った時よりずっと考え、相談し、実際にリハーサルを進めて行きます。月に複数ある時は、それぞれのセットリストを決めて、なので年間15本あると、ぼぼ毎日どこかでそれに時間を割いているって感じに。
一本のステージを成功させる為に下準備している目に見えない所で、その準備の時間こそ、私にとって、「私の大切な時間だと言えます。残念なことに・・・・ 自分の犯ち、間違いによって、その時間を止めてしまった。本当に悔んでも悔みきれない現実です。（泣）今の所、今後の予定が組めないのが悲しい現実ですね。
先の見えない希望を持つのは夢だと自分に言い聞かせながら・・・
今回このテーマについて書かせて頂く事となり、ふとある事に気付きました。ぼんやりとした形のない夢に近いものだけど、それを細分化して行く事で、今やるべき事、現実は？と考えている間に、今確実に、決っている事を目標とし、それに向かって、今から何をするか、それを妄想する事が出来るのではと思いました。つまりは明るいステージに立つ事ではなく（今は）、この刑務所を出所する日を目標とし、それに向けての下準備をするのが正解ではないのかと気が付きました。不順な動機ではあるけど・・・ そうなると、私にとっての大切な時間、大事な時間、大好きな時間とは「今」であるのではないのかなって？そう今なんだって・・・・・・
どんな時、どんな分野であっても、自分が「成長している」 と実感できた時は心踊る。出来なかったことが出来るようになる。知らなかったことを知る。まだまだ自分にものびしろがあったのかと！！嬉しくなります。ここでの生活で自分には出来ることより出来ないことの方が多いって目線を変えてみると、「今」を大切にする事が今の私に与えられた唯一無二の課題であるよう様に思えます。ましてやそれが自身にとって大切な時間大好きな時間であるのならば、今与えられているこの時間を大切に使わない手はないと言う（笑）
同じような環境の人達（2年はまだ短いって（泣））もいると思います。皆、先のわずかな光に向け日々の生活を過ごされていると思います。その先に見えている光に、わずかかもしれない先へと進む為に、「今」を大切に過すのもいいんでは？「今」という「大切な時間」をボーと過す一日も一日、必死になり仕事をするのも一日、その中で、わずかな光の為に妄想するのも一日、それぞれの一日を「今」を大切にしていければ・・・・・・と。
何て思ったりします。
書きながら、内容が少しずつ変わって行く所なんか、 正に今の私の気持ちの変化の現れかな？と思ったり、そうやって、その時に応じ新しい考えが浮かぶ、その考え方をゴールへ向けて合わせてみる。違ってたら変えてみる。そうやってる間に、ピタリとハマる時がある（はず）。そうなればしめたもの。 運が悪く合わなければ、やり直す。そうする事で答がゴールが見えてくる。その為に費やす、時間、それこそが「私の大切にする時間」なればを。
話は戻るけど、ステージ上で曲を演奏し、客席のお客様の笑顔を見た時、全く知らない土地でステージ終予後に「ものすごく楽しかったです！！」とか「あ の新曲いいですね」とか声を掛けて頂いた時、その瞬間に、「ああ、私はこの時の為に、今までの時間を使ってきた」のだ、「そうこの声が、笑顔が見たかった、聞きたかった」そう思えた時が答なのかなと。
今おかれている状況を深く反省し、その先に見えているであろうゴールへと光へと進んでいく為に「今」と言う「大切な時間」を使えばいいなって。
作品ジャンル
エッセイ
展示年
2023
応募部門
課題作品部門
作品説明
今回頂いたタイトルで、今思う事、感じる事を正直なまま書かせて頂きました。
刑務所という中で、他人と違った行動をするのは嫌われると言った状況でしたが、書く事で表現出来たらと思い書きました。
