作品タイトル
あなたへ
作者
島嵜紫水
作品本文
・拝啓、この世に生をうけてくれたあなたへ…「ありがとう」。この日は、北九州八幡市の生誕記念でもあり、大変祝福されたのですよ。
・三歳のあなたへ…あなたの妹が生まれてすぐに父母が離婚した為、泣く泣く母は弟夫婦へ養子へ出したのです。母はあなたが去ってからは涙に暮れていたそうですよ。
・六歳のあなたへ…養父母に第一子が生まれあなたは弟が出来大変喜んでいましたね。でも、何か違和感を覚えていましたね。それでもあなたは弟を大変可愛がっていましたね。
・十歳のあなたへ…何故か養母はあなたばかり手に掛けるのでした。終いには桟叩きで殴るなど…。また、よく弟は抱き締めて貰っているのにあなたはその記憶が全く皆無でしたね。でも、あなたは勉強にスポーツにと頑張っていましたね。その中でも絵画では何回も入選していましたね。そのまま続ける方がいいですよ。
・十二歳のあなたへ…あなたの誕生日に実の子供ではないとの養父母からの告白にあなたは、何か夢を見ているかの様に大変ショックを受けていましたね。それと同時に今での違和感やあなたへの虐待をした養母への憎しみを覚えたのでしたね。でも、勉強と絵画は頑張った方がいいのですよ。あなたにはその才能があるのですよ。
・十五歳のあなたへ…あなたは早く家を出たい為、高校を中退して美容師を目指しましたね。然し、大学まで出てもっと別の社会を見る方法もあったのですよ。あなたのその時の気持を考えると致し方ないのですけど…。
・二十歳のあなたへ…よく頑張って一流のスタイリストになりましたね。でも、あまり有頂天になって羽目を外す事になるから自重した方が良いのですよ。
・二十四歳のあなたへ…あなたは折角掴み取ったトップスタイリストの座を無にして、違う世界へと走り出しましたね。そこで社会の厳しさとともに人の優しさも覚えましたね。ここから、あなたは知らず知らず今現在の居る方へ流れる様になるのですよ。どうか、もう一度方向修正して下さい。
・三十歳のあなたへ…あなたは、すてきな女性と出会い結婚し、子供も出きてさあ、これから新しい人生を…と思った矢先に相手方の親との確執の所為で離婚し自暴自棄になったあなたは折角手に入れた店も捨て見知らぬ地へと赴く事に…。あなたの夢見ていた温かい家庭が絶望へと…。然し、まだやり直しは出来るのですから、どうか頑張って下さい。
・四十歳のあなたへ…あなたは、一獲千金を狙いヤクザの知り合いと一緒に色々なビジネスを始め、もう少しで軌道に乗り安泰と云うところで、そのヤクザが薬に走り何もかも駄目になりましたね。また、そのヤクザが全部あなたの所為にしてヤクザの仲間を呼び、あなたへ嗾しかけ、あなたはぎりぎりのところで逃げ切れて、本当に良かったですね。もう、ヤクザ関係の人とは付き合わない方が良いのですよ。
・四十二歳のあなたへ…あなたは、とうとう事件へと向い人生を台無しにしてしまいました。何故、もっと考えなかったのですか。あなたには幾らでも可能性があったのに…。人生の大半を棒に振ったのですよ。どんな事情があれ人の道に外れた事をしたあなたは罪を償う事になるのですが、最後まで気持ちを切らさずに頑張って下さい。
・八十歳になったあなたへ…あなたは元気で頑張っていますか? 無事故ですか? 残り少ない余世をどの様な形にせよ人生を全うして下さいね。絶対に諦めないで下さいね。良い結果に成っている事をお祈りしています。
敬白
ありのままに
我ある世とし生きかば
悔いも怖れも 何ものもなし
令和六年十一月二十五日記
島嵜紫水
作品ジャンル
手紙
展示年
2025
応募部門
テーマ部門①「あなたへ」
作品説明
過去の私へ「あなたへ」と云うメッセージを出せたら良いのに…と思い、それぞれ人生の分岐点となった年齢にメッセージを書きました。そして、未来の私には諦めないで頑張れ~とエールを投げかけました。最後に私の座右の銘を書きました。