作品タイトル
受刑者が考える受刑者のための更生自立支援団体の運営
作者
猛虎 by Prison Writers A049
作品本文
<コンセプト> 受刑者が抱える悩み、将来に対する不安、困り事などを当事者だからこそわかる視点で考え、受刑中から出所後も切れ目なく支援をする事で円滑な社会復帰に向けて自立、更生できるように一緒に伴走する事を理念として運営する団体を作る事を目指します。
<課題> 政府・法務省は再犯率を減らす目標を掲げていますが、具体策に乏しく、自治体との連携も機能してるとは思えません。受刑者が出所しても仮釈放期間中なら保護士や保護観察所が関わる事ができても、刑期が満了すれば法的に関与する事が難しくなり、行政にしかできない事もあるが、できる事にもおのずと限界があるのです。
<提案として> 受刑者が出所後に自立更生するには様々な壁があり、当事者だからこそわかる悩みを相談し、解決する事が必要で、この団体は自助グループの性質に近い考えになります。大切なのは一方的に教育をして更生を求める事ではなく、様々な人との対話や、冊子や本を通して自らを見つめ直したり、捉え直す事によって気づきを得て自らが変わる意志を持てるきっかけを作る事にあると考えます。ここに加えて受刑中から将来に向けての生活設計や、老後の不安を解消する為に助言やサポートを提供できればと考えます。
<運営について> 理想を言えばNPO法人(非営利)として活動できれば良いですが、最初から認められる訳ではありませんし、現実的に人材や資金などの課題があります。
そこで、最初は小さく始めて、営利部門と非営利部門と分けて、営利部門で利益を上げ、その利益の一部を非営利部門の支援に支出する事で永続的に運営できる体制を構築するのが良いと考えています。
私は他にも複数の事業アイデアを考えており、そちらでも別途実践して頂ける方がいれば事業化し、その中から得られる利益で役職に応じた収入を私が寄付する事も考えて います。
<現状の課題> 刑事施設の受刑者は令和7年6月から懲役刑禁固刑が廃止され「拘禁刑」に移行します。受刑者は刑務作業が義務(懲役刑)でしたが、より更生に重点を置き再犯防止教育を柔軟に取り入れた運用を行なうとされ、受刑者の処遇も含めて、今後どの様な教育プログラムが実施されるのか見ていく必要もあるでしょう。
受刑者が購入する日用品は定価でありここ数年の物価高で値上げされ、社会と比較しても高過ぎるが、受刑者が作業で得る作業報奨金はここ数十年はぼ横ばいで殆んど増えていません。理由として考えられるのは、予算上の制約に加え、長期刑の受刑者が出所時に貰い過ぎない程度の水準にしている古い慣習であると思います。だから短期刑の受刑者の作業報奨金が出所時に少なくて自立が困難になってしまう原因なのです。一方で引き上げる必要があるものの、予算上の理由で30年以上の刑期を務める無期因が出所時に受領する金額が増えて仮釈放の人数に制限が掛かる危惧もあります。
受刑者はあらゆる社会での手続きにおいて自分自身では対応が難しい案件も多く、手続き上の壁が存在する。
例えば、受刑者本人名義の銀行口座が10年以上使用されず休眠口座になると、受刑者本人が銀行窓口に行き手続きするよう求められる。弁護士が代理人として行っても無理で、出所までお金を引き出すことさえできないのだ。
また、遺産を相続して銀行に照会するのも本人が窓口へ行かないと難しいなどころした手続き上の不備や制約がある。銀行口座を作り年金を振り込みにしたくても、口座は代理人の手続きで作れるが、通帳のみでキャッシュカードは郵送されても本人限定受取郵便として刑務所が受け取れず、通帳だけだと年金証書と同様、年金のお金は知人に郵便局で受領(引き出し)するしか方法がないのだ。
こうした課題は少なくなく、受刑者の不利益はあまりにも大きい。
受刑者はこれまで刑務作業が義務(懲役刑)であったが、国民年金保険料を納付できるほどに作業報奨金を貰ってい ないので、(家族に扶養されている者を除く)国民年金保険料の免除申請で全額免除(10年分を遡って後で納付可能)されるが、将来受け取れる年金は2分の1とされ、40年払った場合の月6万4000円の半分(最大)までとなる。これでは出所後に貧困する老後となるのが果して再犯防止のセーフティーネットとしては脆弱で安心して生活できない。
北欧などは(欧米も含め)拘禁=自由を奪う事が刑罰であり、その他の金銭、制度上の不備は刑に含まれないとされ、月7万~8万の作業賃金から年金を納付している国もある。日本においても欧米に習い「拘禁刑」に移行するのであれば、こうした問題や、制度上の不備を行政が解消し、たとえ受刑者であっても国の制度や行政の権利行使できるように改善される事が望まれる。しかし、こうした課題に気づき政治が解決できるかは現在の政治状況では難しい。
よって、私が考える団体が少しでも受刑者の将来を見据えて民間の力でできるサポートを通じて更生自立し、再犯をしないために尽力できる環境を作りたいと考えています。
ぜひこのコラボレーションの実現に向けてよろしくお願い します。
作品ジャンル
お願い
展示年
2025
応募部門
テーマ部門②「お願い」
作品説明
私には、残りの人生を掛けてでも実現したい最大の目標が、「受刑者が考える受刑者のための更生自立支援団体の運営」です。
私が今回、このコラボレーション企画に応募した理由は、
①私自身が事件をすごく後悔していて、必ず更生したいと強く思っていること
②受刑者の将来設計を見据えた環境を少しでも改善し、自分と向き合い捉え直しの意識を持たせ、更生自立を促して再犯を減らしたいこと
③最近の闇バイトで捨て駒にされる若者たちの事件に強い危機感を持っていることです。しかし、私は受刑中の身であり、実践する事ができず、出所してからでは遅いと考えています。そこで、私が考えるプランに共感し、賛同してくれる人と一緒にコラボレーションして頂きたいと思っています。