「刑務所では2万円持ってたら大金持ち」服役15年・出所10年の岩崎風水さんに聞く、刑務所内の余暇と創作のリアル

イベント「刑務所内の限られた表現環境:塀の内と外のコラボレーションの可能性とは?」を7月31日、オンライン(Zoom)で開催し、32人の方にご参加いただきました。

「刑務所アート展」では、服役中の受刑者たちからアート作品を募集しています。より多くの人が参加し、多様な表現が集まる場をつくっていくためにも、「そもそも、刑務所の表現環境はどのようなものなのか?」「どんな道具を、どんなふうに使えるのか?」など、彼らが過ごす刑務所という環境を知る必要があります。

服役経験のある当事者の声を聞き、制約された状況でも可能なコラボレーションを考えたいという思いから、今回のトークイベントを企画しました。

今回のゲストの岩崎風水さんは、大学4年生の頃から長期刑務所で15年服役していた経験をお持ちです。今年で出所して丸10年になります。服役中は水彩画に没頭していたそうです。後にそのときの絵はアウトサイダー・アート展などに取り上げられました。現在は、「獄中者の家族と友人の会」の相談員、「心の微量栄養素少年院ラジオ」のパーソナリティー、「心と体を見るトラウマオタクのセラピスト」、東京・阿佐ヶ谷と名古屋の二拠点での眼鏡屋さん運営など、多様な活動をされています。

はじめに「創作環境は、刑務所や刑の重さによる」と前置きをして、お話が始まりました。

刑務所内で取れる創作時間は、余暇時間で居室にいるときにあたります。また刑務所内で独学できる科目はさまざまありますが、座学で済むものはノートだけ使用を許可されます。設計やデザイン、レタリングや書道などは、雲形定規や関数電卓、墨汁や墨なども使用を許可されます。水彩画やイラスト、製図は水彩絵の具12色、絵筆3本、画用紙などです。

独学以外の画材は、ボールペンは赤・青・黒の3色、蛍光ペンはピンク・黄色など使える色が限られています。ノートや便箋、封筒も許可されます。宗教行為としては、写経用の墨汁・硯・小筆・紙が使えます。

独学使用許可物品などは居室で所持管理することができます。ただし、絵の具など保管できないものもあり、使い終わったら廃棄・処分しなければならないそうです。

風水さんはイラスト、水彩画、社会を独学科目として選んでいました。

岩崎さんは独学科目として、イラスト、水彩画、社会を選んでいた。

質疑応答では、「時間や精神衛生のほかにもお金の制約もあると思うが、限られたお金をどう使っていたか」という質問が出、風水さんによると、「刑務所にも貧富の差があって、高齢の人で年金をもらっている人はお金を持っている。2万円持っていたら大金持ち。月数百円しか使えない中で、たとえばタオルや新しいパンツを買わねばならず苦労する人もいる。刑務作業の報奨金で画材は買える。関数電卓を買うにはまとまったお金が必要」とのお話でした。

他にもさまざまな質問や感想が出たので、ぜひYouTubeでアーカイブ配信をご覧ください。

YouTube映像

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