10月1日(水)より開催!和歌山県立図書館にて「プリズンアート展〜”なぜ犯罪を?”考える社会に〜」

昨年2024年に初めて和歌山県立図書館にて開催した「プリズン・アート展」を、今年もまた開催します!東京で開催してきた「刑務所アート展」の中から、作品を一部選び展示する予定です。主催の和歌山市BBS会さんからのご要望もあり、和歌山での展示は「プリズン・アート展〜“なぜ犯罪を?”考える社会に〜」と題しています。

また、現在も収監されている死刑確定者の奥本章寛さんの絵画も展示しています。奥本さんが色鉛筆で絵を描くことを支えた荒牧浩二さんの活動も含めて展示でご紹介しています。さらに、期間中には、和歌山刑務所の現役刑務官とのトークイベントも予定しています!関西のみなさま、ぜひ足をお運びください。

プリズンアート展のチラシ表面

展示概要

「プリズン・アート展〜“なぜ犯罪を?”考える社会に〜」

日時:2025年10月1日(水)〜11月15日(土) 
平日 9時〜19時、土日祝 9時〜18時
※月曜休館

会場:和歌山県立図書館 展示室(和歌山市西高松一丁目7番38号)
JR和歌山駅・南海和歌山市駅から県庁前経由和歌浦方面行き「高松」下車徒歩3分
会場アクセス

主催 和歌山市BBS会  一般社団法人Prison Arts Connections
助成 立ち直り応援基金
後援 法務省  和歌山県  和歌山県教育委員会
公益財団法人和歌山県人権啓発センター
インストーラー 成田貴亨

昨年も開催した「プリズン・アート展」を今年も和歌山県立図書館の展示室にて開催します。刑務所とはどのような場所なのか、加害や被害からの回復とは何か、表現を介してさまざまに想像を巡らせ、考える機会となることを目指しています。誰もが加害者にも被害者にもなりうる。そして人生はその後も続いていく。さらなる暴力をうまないためにも共に生きる社会を一緒に考えたいです。

和歌山県立図書館で開催している「プリズンアート展」の入り口写真。
展示入り口

奥本章寛さんの絵画展示

奥本章寛さんは、2010年に当時22歳で妻と息子、義母の3人を殺害し、宮崎地裁より死刑判決が言い渡され、控訴・上告が棄却され死刑判決が確定しました。奥本さんはもともと絵を描く人ではなく、どちらかといえば体育会系の青年だったといいます。弁護士の関係者が絵手紙を奥本さんに送ったところ、奥本さんもその返事で絵を添えて手紙を返すようになり、ご家族にも絵を添えて手紙を書くようになったことが始まりです。

死刑確定者の奥本章寛さんによる色鉛筆の絵画の展示の様子。故郷の風景が描かれている。
奥本章寛さんの絵画。額装は支援者の荒牧浩二さんによるもの。

奥本さんの絵には、故郷の風景画と相撲の絵が多くあります。おばあちゃん子だったこともあり相撲が好きで、おばあちゃんに宛てた手紙にも相撲の話題と共に力士のイラストが添えられていました。

奥本さんが絵を描き、その絵をカレンダーやポストカードにして販売し、被害者遺族への被害弁済に充てるといった支援を行なっているのが荒牧浩二さんです。奥本さんは、被害者遺族である義理の弟さんと面会した経験をもち、償う相手が目の前に見えてから、拘置所にいる自分ができることは絵を描くことだけであると、精力的に色鉛筆で絵を描いてきました。

しかし、2021年2月の法務大臣訓令により、色鉛筆の使用が認められなくなり、奥本さんはその使用を求めて「色鉛筆訴訟」を起こしました。色鉛筆の使用が禁止されて以後、サインペンで描かれた絵もありますが、色鉛筆の淡い優しい表現ができないためか、絵は次第に届かなくなっていったといいます。思うように絵が描けなくなり、もう死刑を執行して欲しいと、自暴自棄な状況もあったと、支援者である荒牧さんは語ります。それでも、荒牧さんは「奥本章寛さんと家族を支える会」として、今も支援を続けていらっしゃいます。

当初は、奥本の死刑執行を1日でも長く延ばし、より長く生きてほしいという思いで荒牧さんは活動してきました。しかし現在は、その一日一日を「より深くも生きてほしい」という思いがあると語ります。荒牧さん自身も、奥本さんから生きることは何なのかを考えさせられ、教えられているといいます。

※参考「拘置所で色鉛筆を使いたい 死刑囚の訴え、認められず 東京地裁判決」(朝日新聞、2023.5.25)

イベント

「拘禁刑で変わる刑務所:もっと知って欲しい刑務官の仕事」
日時:2025年11月1日(土) 14時〜15時30分(開場 13時30分)
会場:2階 講義・研修室

刑法の改正にともない、従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した「拘禁刑」が2025年の6月より導入されました。「懲らしめから立ち直りへ」「拘禁刑で変わる刑務所」といった見出し記事が並びますが、はたして刑務所はどのように変わっていくのでしょうか。トークゲストに、現役の刑務官である白藤正幸さんをお招きし、刑務官の仕事とはどのようなものかをお話しいただきながら、現場から見た刑務所の風景を共有する場にしたいと思います。聞き手は、本展の企画を担う一般社団法人Prison Arts Connectionsの風間勇助さんです。

トークゲスト:
白藤正幸(和歌山刑務所矯正処遇調整官)
1977(昭和52)年大阪生まれ。
関西大学社会学部卒業。その後、刑務官として大阪刑務所(堺市)に採用され、大阪矯正管区職員課、矯正研修所大阪支所教官、高松矯正管区職員課矯正専門職、矯正研修所名古屋支所主任教官、名古屋矯正管区医事課長、神戸刑務所庶務課長などを歴任し、令和5年4月から和歌山刑務所にて勤務。現在、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に資する刑務作業の材料を提供する企業の契約交渉、作業安全衛生、社会復帰支援のほか、職員の育成、拘禁刑における新たな施策にも従事している。

風間勇助(PAC 共同代表)
1991年静岡生まれ。奈良県立大学地域創造学部講師。
東京藝術大学にてアートプロジェクトの実践を通したアートマネジメントを学び、卒業後に民間シンクタンクにおいて文化庁委託事業を中心とした調査研究業務に従事。退職後、東京大学大学院文化資源学研究室において、「刑務所と芸術」を研究テーマにアートマネジメントの観点から、刑務所(矯正施設)の内と外との対話の回路をどのようにつくっていくことができるのかについて研究と実践を重ねる。この社会で埋もれてしまうかもしれない小さな声に、どのように寄り添い社会に表現としてコミュニケーションを生み出せるのかを考えている。

建物の外から、プリズンアート展を見た様子。「壁の向こうを想像し、回復を考える」の文字が見えるようになっている。
和歌山県立図書館の外から展示室を見た様子

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