作品タイトル
あなたへ
作者
優叶<Yuu>
作品本文
あなたのいない世界は色がない。
真っ暗でほんの少し先も見えなくて、僕には歩ける場所じゃなかった。
足の動かし方すら、わからなくなってしまった。
生きていたくない。
もう何もしたくない。
だって、僕の世界にはあなたがいないから。
日々の憂鬱なんて、あなたがいてくれれば問題じゃなかった。
だけど今の僕には、それを跳ね除けるパワーがない。
何を頑張ったって、もはやなんの意味もない。
僕の生きる指標はあなただった。
たとえ、 あなたが側にいて僕の前で輝いてくれるだけで僕の人生は救われた。
あなたがいない。
救いは永劫こない。
毎晩、あなたのことを想いながら眠りにつき、
翌朝、あなたのいない世界に戻ってきてしまったことに絶望する。
悪い夢なら覚めてほしいと願い いつつ、
逃げ場はどこにもないこともわかっている。
ここは間違うはずもない現実。
死にたい。
あなたの側にいきたい。
毎日、針の上を歩くみたいに痛いんだ。
もう、歩きたくない。
だけど、思いきる勇気も振りきる強さもない僕は、ゾンビみたいに毎日を過ごしている。
生きる屍だ。
生者を横目で見ながら、世界の上っ面を歩けもしない腐った脚で撫でているにすぎない。
だけど、もう泣き事は言わないよ。
僕は進む。
前へ進む。
途中で歩みを止めざるを得なかったあなたの分も、
この広くて驚くほど美しい世界を、
たくさんたくさん歩いてみる。
生きているって不思議だ。
毎日、ありとあらゆる発見がある。
あなたがいない世界でも、僕はちゃんと歩くよ。
いつか、あなたに会えたとき、
眩しく笑ってもらえるように。
優叶<Yuu>
作品ジャンル
手紙
展示年
2025
応募部門
テーマ部門①「あなたへ」
作品説明
「作品を出そうと思ったきっかけ」
自分自身にとって大切な人や大切な愛犬が側からいなくなり、伝えたかったことやいなくなって気付いたことなどを形にして残したいと思ったからです。
「作品のアイディアはどこから浮かんだのか」
ずっと思っていた思いを言葉や文章にして、いつか伝えたいと思っていたから、 アート展という展示会に訪れた方々に「あなたへ」という形で伝えてみようと思い形にしてみました。
「作品をみる人に伝えたいこと」
大切な人や大切な愛犬が側からいなくなって気付くことや思うことを自分のありのままの言葉で書きました。感情って言葉や文章にするのは、とても難しいです。
僕の心の叫びを少しでも感じ取って頂けたら嬉しいです。