第2回「刑務所アート展」を3月22日~30日に無事開催することができました。この展示に先駆けて、昨年12月~今年1月に実施したクラウドファンディングでは、220人の方から総額2,437,000円のご支援をいただきました。あたたかいご支援をありがとうございました。この記事では、クラウドファンディング実施中にたくさんの方々からお寄せいただいた応援メッセージをご紹介いたします。多様な方々からの熱いメッセージをどうぞご覧ください。
はらだいくみさん
はらだいくみ 一般社団法人ハウリング代表理事
<プロフィール>
普段はデザイナーをしながらソーシャル活動をしています。こども時代に”生理の貧困”当事者だった経験から、学校や公共施設のトイレに生理用品を設置し、知識を広める講演活動をしています。「こどもが安心できるまちに」と考え日々新しいことに取り組んでいます!
<応援メッセージ>
刑務所でのアート活動が再犯率をさげるという話は実際に耳にしますし、アートには心の安定や自分との対話など素晴らしい効果があると思います。このクラウドファンディングの説明文にあった、日本には「発表=コミュニケーションの機会がない」という文章には、確かにと思わされました。作る、発表する、フィードバックする、この流れもすごく大事だと思います。ぜひ、作品展示を通して社会とつながっていってほしいと思いました。応援しています。
阿部恭子さん
阿部恭子 特定非営利活動法人World Open Heart理事長
<プロフィール>
東北大学大学院法学研究科博士課程前期修了(法学修士)。2008年大学院在学中、日本で初めて犯罪加害者家族を対象とした支援組織を設立。全国の加害者家族からの相談に対応しながら講演や執筆活動を展開。著書『高学歴難民』(講談社現代新書、2023)、『家族が誰かを殺しても』(イーストプレス社、2022)、『家族間殺人』(幻冬舎新書、2021)、『加害者家族を支援する―支援の網の目からこぼれる人々』(岩波ブックレット、2020)、『家族という呪い―加害者と暮らし続けるということ』(幻冬舎新書、2019)、『息子が人を殺しました―加害者家族の真実』(幻冬舎新書、2017)他。
<応援メッセージ>
閉ざされた空間、制限だらけの刑務所で生きる、「受刑者」たちにしかできない表現がある!社会ではタブー視されている塀の中の生活。そこで暮らす人々もまた、私たちと同じ人間であり、人の子であり、誰かの親であることもある。「人権」という概念をリアルに体感できる「刑務所アート展」は、きっと新しい世界の扉を開いてくれるはず!どうかご支援の程、宜しくお願いします。
片山徒有さん
片山徒有 あひる一会、被害者と司法を考える会代表
<プロフィール>
1997年、当時小学2年生の息子・隼(しゅん)を交通事故で亡くす。この時の捜査機関からの理不尽な対応を機に、被害者支援と司法制度改革の必要性を痛感し、2000年に被害者支援団体「あひる一会(あひるのいちえ)」を設立。2007年に「被害者と司法を考える会」を設立。2000年頃より、数多くの少年院や刑務所での講演や指導を通じて「被害者の視点」を伝えることを続けている。被害者関連立法などの成立については国会で参考人として意見陳述も数多く行った。日本犯罪社会学会 日本矯正教育学会会員
<応援メッセージ>
私はこれまでに数多くの刑務所や少年院を訪れて収容されている人の立ち直りを支援してきました。矯正施設にも様々なプログラムがあります。今回の刑務所アート展に近いものも実際に行っている施設も少年院にはあります。つい先日もある少年院で少年の作った工芸作品を拝見してきましたがとても素晴らしいものでした。日本では刑務所で教育が行われるようになってからまだ歴史が浅いのでまだこのような取り組みが行われている例はあまり聞いた事がありませんが、少年院だけでなく刑務所でも収容者が思ったことを立ち直り教育の一環としてアートで表現をする試みを行って頂きたいと思いました。「第1回刑務所アート展」も拝見しましたが作品は多様で様々な人生の側面を個性的に表現しているところに感銘を受けました。是非このような活動を継続して行って頂きたいと思います。
丸山泰弘さん
丸山泰弘 立正大学法学部教授
<プロフィール>
「市民の、市民による、市民のための刑事政策」をモットーとしている。2018 – 20年にUC Berkeleyで客員研究員。日本犯罪社会学会理事、日本司法福祉学会理事。単著「刑事司法手続における薬物依存治療プログラムの意義」(2015年)〈守屋研究奨励賞受賞(2016年)〉など。主な業績はタモリ倶楽部「空耳アワー」のTシャツ。
<応援メッセージ>
刑務所アート展。色んなことが制限される中で、それぞれの感性と個性を感じることができる。Artを通じて根気強く向き合うことができるようになり、Artを通じて自分を見つめ直し、Artを通じて自分の弱みに気づき、Artを通じて被害者に思いを馳せ、Artを通じて塀の外との交流が深まる。これまでの人生で “他人どころか自分さえも大切にしてこなかった” 人が少なくない刑務所の中で、Artを通じて人として成長していく。刑務所アート展を応援しています。
風間暁さん
風間暁 写真家・文筆家・保護司
<プロフィール>
写真家、文筆家、保護司。特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)社会対策部、ASK認定依存症予防教育アドバイザー。令和2年度こころのバリアフリー賞を個人受賞。季刊『Be!』(アスク・ヒューマン・ケア)編集部。分担執筆に『助けてが言えない 子ども編』(松本俊彦編著、日本評論社)など。最新刊に、『専門家と回復者に聞く 学校で教えてくれない本当の依存症』(合同出版)。
<応援メッセージ>
私もたくさん間違えて、他者を傷つけてきました。そこには大きな、他者への想像力の欠如が、ひとつの要因としてあったように思っています。
アートは、想像力を育んでくれます。造り手にどのような背景があり、どのような意図をもって製作したのかに思いを馳せる時間は、受け手の感受性を育ててくれます。
また、造り手として0から1を創造する過程では、否が応でも己と向き合わなければならず、根気強く自分の脆さとも対峙しなければなりません。自分のこれまでの歴史や行ないを無視して製作を進められるような、そんな性質のものでもありません。
そうして生み出した作品は、次に展示という場を通じて、受け手と造り手の相互作用の中で、人々の想像とともに右往左往します。
必ずしも意図通りには受け止めてもらえないことや、感じ方が人によって千差万別であること、個性がさまざまあることを学ばせてもらえます。
その体験は、どのような更生指導より、もしかしたら法そのものよりも、ずっと意味のある「生き直し」の道標になってくれるかもしれません。
私は、刑務所アート展を応援しています。
畑田将大さん
畑田将大 弁護士・弁理士
<プロフィール>
平成26年3月 立命館大学法学部卒業
平成28年3月 九州大学法科大学院修了
平成28年9月 司法試験合格
平成29年12月 弁護士登録
ベリーベスト法律事務所入所
令和3年1月 弁護士法人ALAW&GOODLOOP 福岡オフィス入所
令和4年8月 弁理士登録
<応援メッセージ>
司法の世界で生きている身でお恥ずかしいのですが、このような活動があることを初めて知りました。
「再犯率の低下」という理由ももちろん重要ですが、表現活動とは本来誰でも自由にできるものであり、その表現を誰かに伝えることも当然自由であるべき、という点もより重要なのだと思います。
刑務所はその表現機会がなかなか得られない場であるため、今回のようなプロジェクトは、より広く普及していくべきです。
僅かながら支援させていただきます。
古賀佳奈子さん
古賀佳奈子 障害福祉ジャーナリスト
<プロフィール>
株式会社CELTIS代表取締役、障害福祉ジャーナリスト。“ 障害福祉 ”を大きなテーマとし、今を多角的に見る情報番組『 ~ともに創る 未来へ進む~ SMALL STEP TV 』を運営。自身も発達障害(アスペルガー症候群)のグレーゾーンといわれる層であり、周囲とうまく馴染めずに、小学校6年生から18歳までの約6年間、引きこもりになった時期がある。実母は難病・癲癇・鬱病を患い自死、自身の子には障害(自閉症と知的障害)があり、日々の生活の中で、障害福祉に関する情報の少なさや誤った理解をしている方が多いこと、そして支援者側へのサポートの少なさ、孤立しやすさを実感し、これらの課題を事業を通して解決することを目指すに至る。すべての人々が共存共栄できる世の中を創造するべく、2020年に株式会社CELTISを設立。
<応援メッセージ>
プロジェクトを拝見し、受刑者の方はもちろん、被害者の方やさらにそのご家族など、様々なお立場の方が背景に在る場所だとは思いますが、ずっと閉ざされたままでは変わらない事もあると感じますので、皆さまの活動によって新たな繋がりが生まれることを期待しております。
石塚伸一さん
石塚伸一 弁護士
<プロフィール>
一般社団法人刑事司法未来代表理事、龍谷大学名誉教授。専門は、刑事法学。特に、刑事政策・犯罪学を研究領域として、ゲッティンゲン大学の客員教授やギーセン大学の客員研究員に招聘された。研究テーマは、刑事法一般、受刑者の権利、監獄の歴史、死刑問題、薬物依存からの回復、宗教教誨、先端医療と生命倫理など。犯罪原因の科学的究明と合理的刑事政策の提案に寄与したいと考えている。
<応援メッセージ>
アートは、改善更生のためになすにあらず。生きるためにここに在る。
1日は24時間。1年は365日。アートは自己表現。すべては平等に、いま、ここに在る。
紫原明子さん
紫原明子 エッセイスト
<プロフィール>
1982年福岡県生まれ。著書に『大人だって、泣いたらいいよ 紫原さんのお悩み相談室』(朝日出版社)、『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)等。「話して、聞いて、書いて、自分を掘り出す”もぐら会”」主宰。WEラブ赤ちゃんプロジェクト「泣いてもいいよステッカー」発起人。
<応援メッセージ>
はっきりと見える塀に限らず、私たちの身の回りにはたくさんの塀があって、一人一人の日常もそんな、見える塀と、見えない塀の両方によって隔てられています。塀は私たちに安心感をもたらす一方、視界を阻み、見えない世界への恐怖や忌避感をいたずらに駆り立てもします。そんな中にあって「表現」とは、見える塀、見えない塀、そのどちらをもすり抜ける可能性を有するもの。私たちから見えない場所にいる人たちが何を表現されるのか、同じ社会に生きている者として、私は見たいです。
乙武洋匡さん
乙武洋匡 作家
<プロフィール>
作家。1976年、東京都出身。早稲田大学在学中に出版した『五体不満足』が600万部を超すベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、小学校教諭、東京都教育委員など歴任。最新作に「家族とは何か」「ふつうとは何か」を問いかける小説『ヒゲとナプキン』(小学館)がある。
<応援メッセージ>
刑務所で暮らす人々にも表現活動をする権利があるのはもちろんですが、刑務所内でのアートプログラムには再犯率を下げる効果があるという指摘に興味を持ちました。刑期を終えて出所した後も仕事が見つからず、コミュニティに入れず、孤立からまた罪を犯してしまう人が多くいるなか、アートが心の拠り所となることで彼らを支えていくことができればいいですよね。多くの方に応援していただいているのだという実感も、きっと受刑者の励みになることと思います。
中村カズノリさん
中村カズノリ メンズカウンセラー
<プロフィール>
1980年生まれ。WEB系開発エンジニアの傍ら、メンズカウンセリングを学び、モラハラ加害者としての経験をもとに、カウンセリング等の支援活動を行っている。2021年5月に、国家資格であるキャリアコンサルタントを取得。さらに活動の幅を広げている。共著書に『DVは なおる 続』。
<応援メッセージ>
アートには自分自身を表現する一面が確実に存在すると考えています。
自分を表現するとは、自分自身の内面、これまでの体験に向き合うこと。
向き合い続けた結果が作品となること。そして鑑賞者へ語りかけること。
もちろん、人間は目に見える一面だけでなく、様々な面があります。
「間違いを犯してしまった人」というラベルではなく
表現によって、その人だけの別の一面が見えてくるかもしれません。
制作者が自分と向き合い、表現された作品を見て、鑑賞者は何を想起するか。
これこそが「内と外」を繋ぐ対話の場の可能性となると感じています。
この素晴らしい取り組みを応援いたします。
寺島ヒロさん
寺島ヒロ 漫画家・イラストレーター
<プロフィール>
大分県出身。デザイナー業の傍ら、竹書房にて「糖尿病日記」でデビュー。主に青年誌で作品を発表していたが、2人の子どもと自身にも自閉症があることが判明し、医療、福祉、教育方面へ活動の場を広げる。創造県おおいた推進事業 アートマネジメント講座基礎編/実践編 修了。
著書に「でこぼこ兄妹日記」「ぼくは不眠症」(※コミカライズ担当)など。週刊漫画タイムズ「浪人生の彼女とスーパーで」連載中。
<応援メッセージ>
自分が描けなくなる日のことを考えると、辛くて悲しい気持ちになります。しかし、その日は確実にやってくるもの。だからこそ、日々何かに駆り立てられるように、描き続けることをやめられないのでしょう。
刑務所で創作に励む受刑者の方々がいることを知り、限られた人生の時間を惜しむ気持ちは同じだと感じました。これら制約の多い中で生み出された作品は、絵を生業にしている私のような者だけでなく、多くの方々の心に触れることと思います。
受刑者の方々のアートや漫画を広く発信するイベントを実現するためのクラウドファウンディングを行っています。ぜひ皆様の温かいご支援をお願いいたします。このプロジェクトは再出発への一歩であり、皆さんの寄付がその力となります。よろしくお願いいたします。
武田多佳子さん
武田多佳子 子ども英語教室講師、マタニティ期から絵本読みきかせ推進協会 理事
<プロフィール>
1982年生まれ。宮崎大学農学部農学研究科修士課程修了。現在は、子ども英語教室ラボ・パーティ講師として、子どもたちが話し合いを重ねながら演劇を創り上げる過程と、それを発表して観客に見てもらう経験から、自己開示、自己表現、他者理解、多様性理解に繋がる場を作っている。安心できる場で自分をさらけ出す経験、それを受け止めてもらう経験から、そのままの自分を認められたり、自分の考えをとことん突き詰めた上で、今度はそれが他人がどう受け止めるかを見ることで、自分と他人との違いに気づいて、他者の背景への想像力や、違いを面白がる思考回路を持てたりするような場を理想として活動している。また、マタニティ期から絵本読みきかせ推進協会(またよみ協会)の理事も務める。親の声での読み聞かせを推進する活動を通して、生まれてくるすべての子どもたちが、十分に愛情を受け取って育つことが出来る社会を目指している。
<応援メッセージ>
刑務所の中にいる方達と『私』は何が違うのかと考える時、私の答えは『運』です。
私が善人だから犯罪を犯していないのではないのです。
たまたま持って生まれた身体と脳が多数派なので割と生きやすく、
家庭環境、地域の環境、学校や職場の人間関係も酷くはなく、自分の力ではどうすることもできない部類の要因に恵まれていたから、ここまで犯罪を犯さずに来られただけだと思っています。
どこかで何かがひとつでも違っていたら、今塀の中にいるのは、私のほうだったかもしれません。
そして、今後どうなるかは、誰にも分かりません。
今回の刑務所アートのような、加害者支援の取り組みに触れた時、おそらくほとんどの人の心を掻き乱すのは、被害者の存在ではないでしょうか。加害者支援が、被害者を更に傷つけてしまうのではないか、という不安。
また、事件や虐待などのニュースを見た時に良く言われる言葉『信じられない!』が象徴するような、一度法を犯した人間は自分とは全く別の人種であるという感覚や、そういう人たちが本当に更生出来るのか?という不安もあると思います。この感覚や更生への不安は、きっと受刑者本人も、自分自身に対して抱えるものなのではと想像します。
隣に引っ越してきた感じの良い人が、元受刑者だと知ったら、どんな態度を取りますか?何を思いますか?
ここに挙げたような葛藤を乗り越えて、一歩先に進むには、
【加害者と被害者】という視点は一旦捨てて、『受刑者と私』という切り口で考えることが助けになる気がしています。受刑者と自分を比較対象として同じ土俵に乗せることで、自分自身が犯している大小様々な罪を自覚したり、今まで法を犯さずに済んでいる有難さに気づくことが、誰もが一線を越えてしまうことなく生きられる社会につながるのではと考えています。
刑務所アートは、受刑者にとっては、自分を他者に向けて表現し、受け取ってもらう貴重な場となり、【未受刑者】にとっても、まず同じ土俵に立つというスタートラインに立つために、必要な取り組みだと思っています。
ご尽力に感謝しつつ、心から応援しています。
黒木麻衣子さん
黒木麻衣子 一般社団法人未来支援らしさ代表理事
<プロフィール>
1980年、東京都出身。宮崎県日向市在住。
2021年「一般社団法人未来支援らしさ」設立。
老後、安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指す。
ファイナンシャルプランナーとして「マネーセミナー」や「相続セミナー」など各種セミナー開催。
その他、地域活動として『制服リユース活動』『発達おしゃべり会』など。
<応援メッセージ>
私は、プライベートでは発達障害の子どもを持つ母親です。
現在、我が子を心の底から愛おしいと思うことができる幸せな環境にいますが、そう思うことができなかった時期も長らくありました。
「育てにくい」子どもはいます。
育てにくさから愛されなかった子どもが犯罪へと繋がっていく姿は容易に想像することができます。
たまたま生まれたその家庭に気持ちや経済的な余裕があるかどうか、住む地域のサポートが充実しているかどうかなど、本人には選べない「環境」ってあると思います。
受刑者の方々の事情は様々だと思いますが、アートを通じて、これまでの「環境」で得ることができなかったものに出逢えることを願っています。
「刑務所アート展」の成功を祈念すると共に、この素晴らしいプロジェクトを心から応援しています。
平野ひろみさん
平野ひろみ 主婦歴30年
<プロフィール>
熊本県生まれ
2003年
CAP(子どもに対する暴力防止プログラム)と出逢い、CAPスペシャリストに。同年、CAPグループを立ち上げ、各所でワークショップを開き、虐待防止や子どもの権利に関する啓蒙啓発活動を行う。
2016年
仲間共に子ども食堂を立ち上げたのを機に、子どもの貧困対策の啓蒙啓発や学習支援、不登校支援などを始める。
2020年
子ども宅食、大学生支援、moonBOXプロジェクト(生理の貧困対策)開始。”
<応援メッセージ>
犯罪のない世の中を実現するには、何故、犯罪が起きるのかを考える必要があると思います。
それは決して、道徳教育の不行き届き等ではない。罪を犯した人の背景にあるものに目を向ける時、そこには貧困や虐待、障がいなど、その人のせいとは言い難い様々な要因(遠因)があります。そして大方は孤立しています(トリガー)。誰にも話を聴いてもらえない。自分のことを分かってもらえない。自分なんて価値がない。そういう思いが積もり積もって限界を越えた時、人は罪を犯すのではないでしょうか?
そう考えると、受刑者を罰するだけ罰して、孤立させたところで、根本解決にはならないと思うのです。
「刑務所アート展」のような場で、受刑者が自分の内にあるものを自由に表現し、それを発表することが、自分の存在価値を取り戻すきっかけになればいいと思います。また、沢山の人がそこに関心を持ち、関わっていくことが、温かい応援となり、必ずや更生の一助になると信じています。
新田慎二さん
新田慎二 プロジェクトマネージャー/「ねえねえ きいて」聞き手
<プロフィール>
IT系企業でプロジェクトマネージャーを勤めつつ、心理カウンセラーの資格を得て、誰もがより手軽に心のメンテナンスができるようになれる環境をと、お話を聞くサービス『ねえねえ きいて』を仲間とともに立ち上げ、現在もささやかに運営中。
<応援メッセージ>
この「刑務所アート展」というプロジェクトを目にして最初に感じたのは、「刑務所にいる人」と「それ以外の一般人」という、分断する力が強い言葉だと感じたことでした。
だけどこの感覚は、社会制度的にも空間的にも、僕たちからは隔離されていることが明らかな場所だからこそ、簡単に「自分とは関係のないことだ」と、自分と距離をとろうと分断する力が自分の中に働いていたのだと、自覚するきっかけにもなっていきました。
そんな自覚を通じて感じた、常識や反応的なあり方に対して、加害・被害を超えた対話の可能性を探りながら、分断からつながりをもたらそうとするこのプロジェクトは、人間を信頼しようとする強さや、人の手とか、体温のような温かみが感じられる試みのように感じました。
自分の中に発生する「誰かとの関わりを当たり前に分断する意識」には、できるだけ自覚的でありたいな、と思いつつ、刑務所で服役している人たちにとって、表現の発表の場があるということが、自らの罪を背負いつつ作品を通じて他者に受け入れてもらえるという、大切な機会になることを願っています。
このプロジェクトが成功することを、心から応援しています。
森川すいめいさん
森川すいめい 精神科医
<プロフィール>
1973年、東京要町生まれ。精神科医。鍼灸師。オープンダイアローグトレーナ。Voicyにてオープンダイアローグ(開かれた対話)で生きやすくなるラジオを開設している。
1995年から安心できる住まいを持たない人の支援活動に携わる。2003年にホームレス状態にあるひとを支援する団体「TENOHASI(てのはし)を立ち上げ現在は後方支援活動を続ける。09年、認定NPO法人「世界の医療団」ハウジングファースト東京プロジェクト代表医師、13年同法人理事に就任。著書に、障がいをもつホームレス者の現実『漂流老人ホームレス社会』(朝日文庫、2015)、自殺希少地域での旅の記録『その島のひとたちは、ひとの話をきかない』(青土社、2016)、オープンダイアローグの心が癒されるプロセス『感じるオープンダイアローグ』(講談社現代新書、2021)、オープンダイアローグ実践案『オープンダイアローグ私たちはこうしている』(医学書院、2021)等がある。世界49か国を旅した。
<応援メッセージ>
「自分の話を聴いてもらえることがなかった、刑務所で初めて話を聴いてもらえた」
刑務所から出られた方からお聞きした言葉でした。私は職業柄、またはホームレス状態になった人の支援をする活動を通して、受刑された方の声を時々聴きます。
罪と、人のこころとを分けて考えるとき、その方たちがそこへ至った経緯にこころを傷めます。生きられるように、生きやすくなるように、人がアートを通して社会と対話していくこと、受け入れられていくことに希望を感じています。
田鎖麻衣子さん
田鎖麻衣子 特定非営利活動法人CrimeInfo代表
<プロフィール>
特定非営利活動法人CrimeInfo代表。弁護士(第二東京弁護士会)。東京大学法学部卒。一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了(博士(法学))。一橋大学法学研究科非常勤講師。主な著書に、「本当に命を尊ぶために——死刑制度」『人権読本』(岩波ジュニア新書、2001年)、『孤立する日本の死刑』(現代人文社、2012年、デイビッド・T・ジョンソンと共著)、「“死刑は被害者のため”なのか」『「被害者問題」からみた死刑』(日本評論社、2017年)、主な翻訳に、アンソニー・スミス『ギデオンのトランペット』(現代人文社、2020年)、モンロー・フリードマン、アビー・スミス『なんで、「あんな奴ら」の弁護ができるのか?』(現代人文社、2017年、共訳)などがある。
<応援メッセージ>
塀の中であろうと外であろうと、アートは人間にとって必要であり、大切なもの。
刑務所での芸術活動が当たり前になって、「刑務所アート」という言葉が要らなくなる日がくればいいなと思います。
クマさん
クマさん 刑務所ラジオ パーソナリティ
<プロフィール>
覚醒剤で2度服役。NPO法人監獄人権センター職員。刑務所ラジオ(東京都府中市のコミュニティFMラジオフチューズ)パーソナリティ。
<応援メッセージ>
私は元受刑者です。覚醒剤で2度の服役経験があります。今は最後に覚醒剤を使ってからもうすぐに7年になります。
私はこのプロジェクトをとても応援したいです。理由はたくさんあります。一番の理由は逸脱行動からの回復に表現することがとても大切であると思うからです。私は薬物を再使用しない為に、日常的に薬物依存症のリハビリをしています。薬物依存症のリハビリでは、今まで言葉に出来なかった感情や、今現在の生活の中で自分自身に起こっている感情を表現しています。
私はこれをすることで日々心が軽い状態で生きることができています。私はさまざまな逸脱行動は表現できなかった感情が最もネガティブな形で表現された現象であると考えています。だから、日常的に感情表現ができていれば逸脱行動に走らずにいることができます。つまり犯罪をせずに社会で調和しながら、生活ができるようになります。この表現の方法は何も言葉でなくても私は良いのではないかと考えています。つまり絵画や音楽、踊りなどでも良いということです。
刑務所の中には作業をしている以外に余暇時間と呼ばれる時間があります。その使い方は人それぞれ違いますが、過去の罪と真剣に向き合っている方々がいます。そういう方々にとって特にこのプロジェクトは効果的です。曖昧な感情を一般社会に対して、さまざまな形で表現することができるからです。また、アート展という形にすれば、一般社会の人が観にくるわけですから、社会の人との緩やかな接点も生まれます。
刑務所は社会と繋がりがない世界です。社会と繋がる方法は主に手紙と面会だけです。受刑者はいつか出所して社会に戻ってくる訳ですから、服役中に社会とたくさんの繋がりがあった方が、社会復帰はスムーズになります。スムーズに社会復帰した方が再び逸脱行動に走る確率も減ります。つまり、刑務所アート展は犯罪予防の効果もあるということなので、このプロジェクトは社会に対しても有益であると思います。
飯山由貴さん
飯山由貴 美術家
〈プロフィール〉
映像作品の制作と同時に、記録物やテキストなどから構成されたインスタレーションを制作している。過去の記録や人への取材を糸口に、個人と社会、および歴史との相互関係を考察し、社会的なスティグマが作られる過程と、協力者によってその経験が語りなおされること、作りなおされることによる痛みと回復に関心を持っている。 近年は多様な背景を持つ市民や支援者、アーティスト、専門家と協力し制作を行っている。近年の主な展覧会として、2023年『この病気にならないと理解できないと思います。どうせ、他人事でございましょう』(シアターねこ、松山)、2022年『地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング』(森美術館、東京)、飯山由貴『あなたの本当の家を探しにいく』 (東京都人権プラザ、東京)など。
〈応援メッセージ〉
作品を作るということは、作り手と作品を見る人、あるいはその営みを知る人がいてはじめて成立することではないでしょうか。もちろん作り手は常に自らの作品を最初に「見る人」であり、なんらかの感想を自分自身に投げかける人でもあります。
けれども、自分自身の想像や感受性を超える言葉や反応は、常に「わたし」ではない「誰か」からやってきます。「あなた」と言ってもいいかもしれません。 ひとつひとつの言葉や反応に驚き、勇気づけられ、時にあれれと思い、落ち込みながらも次の作品に取り組むことが、1人の作り手を成長させていきます。
もし、このような作品制作と発表をめぐる営みが難しいことであるとしたら、それは作り手の身体の移動やコミュニケーションなどのなんらかの自由が制限されている場合ではないでしょうか。 刑務所という場所にいる人は、私たちと全く同じ1人の人です。服役しながらも、奪われてはいけない人としての尊厳があります。
作品を通して、人々が出会い、支え合う営みを心から応援します!
上田假奈代さん
上田假奈代 詩人・詩業家/NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表理事
<プロフィール>
1969年・吉野生まれ。3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる。2001年「ことばを人生の味方に、詩業家宣言」。2003年、大阪・新世界で喫茶店のふりをしたアートNPO「ココルーム」を立ち上げ、釜ヶ崎に移転し、2012年「釜ヶ崎芸術大学」開講。2016年ゲストハウスのふりもはじめ、釜ヶ崎のおじさんたちとの井戸掘りなど、あの手この手で地域との協働をはかる。
大阪公立大学都市科学・防災研究センター研究員、NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表理事。堺アーツカウンシル プログラム・ディレクター。大手前大学非常勤講師。
<応援メッセージ>
想像力のきっかけ、存在が表されること。
表されないことには気づかなくて、表されていても気づかないふりをするのも簡単で、
「刑務所アート」という言葉は、そこにまっこう向かっていきます。
被収容者の表現が問われるというよりも、むしろそれを知ったわたしたちが問われるのだと思います。
刑務所のなかは特別な場所ではあるけれど、社会と地続きだと思うのです。
出所すれば社会で生きていくことになります。
死刑となっても、その存在が忘れられるわけではなく、その意味はむしろ必要となるかもしれません。
そうだとすれば、謎のままであるよりも表されることによって、社会との接続点が増え、考えてゆく、話し合ってゆく機会が増えてゆきます。
誰もが被害者・加害者、その関係者になる可能性があり、そのためのレッスンとして、このプロジェクトがあると考えています。
それを刑務所の外から働きかけてゆくことが、とてもとても大事だと思っています。文芸作品コンクールの審査委員を数年経験して、中から提案してゆくことの難しさを重々感じているからです。
小林美香さん
小林美香 講師・著述業:視覚文化・ジェンダー表象研究
<プロフィール>
国内外の各種学校/機関、企業で写真やジェンダー表象に関するレクチャー、ワークショップ、研修講座、展覧会を企画、雑誌やウェブメディアに寄稿するなど執筆や翻訳に取り組む。2007-08年にAsian Cultural Councilの招聘、及び Patterson Fellow としてアメリカに滞在し、国際写真センター(ICP)及びサンフランシスコ近代美術館で日本の写真を紹介する展覧会/研究活動に従事。2010年から19年まで東京国立近代美術館客員研究員を務める。東京造形大学、九州大学非常勤講師。著者に『写真を〈読む〉視点』(単著 青弓社、2005)、『〈妊婦アート〉論 孕む身体を奪取する』(共著 青弓社、2018)がある。9月に『ジェンダー目線の広告観察』(現代書館)刊行。アメリカの漫画家、マイア・コベイブの『ジェンダー・クィア』の日本語版出版を準備中。
<応援メッセージ>
昨年の東京での「刑務所アート」展に先立って開催された企画会議に参加し、展覧会を見たことで、限られた手段に拠りながら、人が生きていることを証し立て、人と人とが心を通わせ合う手段として「表現」がどのように存在し得るのか、またそれらをどのように受け止められるのかということに思いを巡らせました。展示されていた便箋に綴られた手書きの言葉には、家族のことを想い、平和を願うものが多かったのが印象に残っています。 ソーシャルメディアに依存し、情報の濁流の中にあって、社会的な問題や個人的な苦境や痛みについて気持ちを伝えたり助けを求めるためことが難しくなっていると感じます。顔が見えない相手との繊細なコミュニケーションの結節点を作る営みとして、丹念な準備を重ねて開催される展覧会が担う役割はとても大切なものだと思います。
今田まり子さん
今田まり子 生理コーチ 占い師
<プロフィール>
National Board for Health and Wellness Coach(米国ヘルス・ウェルネスコーチ委員会)に認可された唯一のプログラムであるIWHC(Integrative Women’s Health Coach)でヘルスコーチとして資格を取得。IWHCやホリスティックヘルスコーチのNicole Jardimのもとで生理やホルモンについて重点的に勉強し、生理コーチとして活動中。
2019年6月に生理大量出血があり、救急病院へ。これをきっかけにスピリチュアルなスキルがめきめきと拡大し、占いを通して、皆さんの人生をサポートをしています。リーディングは随時インスタグラムのDMで受付中。
<応援メッセージ>
私にとって刑務所とは、テレビのドラマで拾ってきた借り物のようなものにとどまっているにも関わらず、それ以上のことを調べようとも思わないような、自分から遠くにある存在でした。そして、自分からあえて近くに感じたくない存在でもありました。
それと同時に受刑者の方々は私たちと同じ人間で、受刑者の方々の背景を全く知らないし、知る機会もほとんどない。だからこそ、「刑務所アート展」を通じて、被害者、加害者、刑務所の外にいる人間という壁を越え、同じ人間としてお互いの共通点を見出すことは重要だと思います。そうすることによって、社会にも自分の中にも新しいスペースができる一つのきっかけとなるからです。
荒牧浩二さん
荒牧浩二 オークス(奥本章寛さんと共に生きる会)事務局
<プロフィール>
一人の死刑囚の方の支援や、寄り添うという形を目指して13年間関わってきたものです。
<応援メッセージ>
その人は償いの一つとして、色鉛筆で絵を描き続け、我々がポストカードやカレンダーにして販売し、販売したお金の一部を被害者遺族に届ける、という形を模索、実践してきました。
3年前、国が拘置所での色鉛筆の使用を禁止して、彼も表現の手段を失い、今は償いたいという気持ちも生きようという意欲も失いつつあるように私には感じられます。
絵を描く、ということは償いのためのお金を稼ぐということ以上に、死刑囚として生きることの表現そのものだったのだと思います。
表現は他者との関りであり、悲しみであり、希望や勇気や励ましでもあります。
過酷な状況であればあるほど必要であり、その表現を受け取った人にも(多分)意義のあるものだと思います。
刑務所アート展開催の成功を!
椿原 誉樹さん
椿原 誉樹 会社員
<応援メッセージ>
僕は、何かを語れるほど、何かを知っているとは思えないけれど、ただ、犯罪や、罪ということを思う時に、いつも、「自分がそうだったかも知れない」ということを思います。
わたしがわたしであることは、きっと、ただの偶然で。たまたま、たくさんのものごとと、ひとに、囲まれて、いつの間にか、わたしという人間が出来上がった。何かが少しでも違っていたら、何かボタンのかけ違えがあったら、全然違っていたかも知れない。
塀の中にいる人たちも、そうだと思います。人生の中で、何かに、誰かに、出会えていたら、そんなことにはならなかったかも知れない。もっと愛されていれば、もっと聴いてもらえていれば、もっと報われていれば……違ったんじゃないかなと思ってしまいます。
人が人であり続けるために、人は、誰かと関わります。言葉を交わしたり、抱き締めあったり。アートとは、人が人と関わるための、自分が自分であるための、自分がこの世に存在しているということを伝えるための、一つの手段であり、叫びだと思います。
刑務所の中で、罪と向き合いながら、何かを考えている人たちが、それを表現する場があれば。自分がこの世に存在し、何かを思い、それを聴いてもらうという、当たり前のことを、やり直せる場があれば。
何かが変わるかも知れない。変わらないかも知れない。でもいずれにせよ、彼らは(僕らは)この世に存在しています。罪を背負って、生きることをやめてはならないという罰を受けながら、これからも生きていきます。その残りの人生を、少しでも世界にとって優しいものにするために、彼らは(僕らは)、自分たちがほんとうは尊い存在であるということを、思い出す必要があると思います。自分たちが尊い存在であるように、他者もそうなのだということを、そんな当たり前のことを、思い出すために、自分の感情と、記憶に、向き合う必要があると思います。アートを介して、自分の存在を思い出し、それをこの世に表現するということ。そうした体験が、一度で良い、一度でもあれば、何か、未来が変わるんじゃないかと思います。
僕はそう信じています。
ライラ・カセムさん
ライラ・カセム デザイナー・大学教員
<プロフィール>
障害福祉の現場とデザインを繋げ、協働創作を通して様々なプロジェクトを企画・運営し、障がいがある人の経済自立・社会参加とデザイナーや企業の社会意識を促す活動をしている。その象徴でもある「シブヤフォント」ではアートディレクターを務め、グッドデザイン賞や台湾のGolden Pin Design 賞でベストデザイン賞などを受賞。東京大学特任研究員、桑沢デザイン研究所非常勤講師なども務める。2023年4月からは奈良女子大学工学部の特任准教授に就任。
<応援メッセージ>
犯罪というものはそもそも今現在の社会を移している鏡のようなものではないでしょうか。この展覧会は犯罪を肯定するものではなくそもそも罪を犯した人々がどのように今現在世の中を見つめているか。我々市民もその鏡に目を向け表現から言及することで我々社会としてどう罪というものを受け止め向き合うべきかを提示しようとしてるとても大事なものだと感じています。このような問いや対話ができる貴重な場の活動を今後とも実行と継続していけるようにぜひ皆様の些細な力をお貸しください!
ご紹介は以上です。たくさんの熱いメッセージをいただいたおかげで、たくさんのご支援が集まりました。さまざまな方がそれぞれの想いを私たちのクラウドファンディングに寄せてくださいました。私たちPrison Arts Connectionsは、「壁」を越え、「はじまり」をつくり続けるために、これからも活動を続けてまいります。引き続きご支援よろしくお願いいたします。